ここはお役所ですか!?

子どもを通じてご近所付き合いをさせて頂いているF家で、某大手銀行グループの支店長さんでいらっしゃるご主人が、このたび、中国・蘇州へ二度目の海外赴任となった。

さらなるご栄転を祝して、ささやかな壮行会と、みんなでプレゼントをすることに。

さて、何にしよう。

以前もご家族で上海に数年間ご滞在の経験をお持ちで、駐在生活も中国語も慣れたものでしょうから、今更初心者向けの日常会話集や電子辞書は、ないよね。

それじゃなくても、40代後半のエリート銀行マンが、名刺入れやお財布なら、いいものを知り尽くしているし、日ごろ身に着けていらっしゃる。

ハンカチやネクタイなど好みが分かれるから、ダメでしょう?

今回は単身ということで、ワインのお供に気の利いたグラスでも、と思いついても、奥様がリーデルにお勤めだったりするから、これもきっとしらけるだけ。

う~ん、困ったな~

と今ひとつ決め手に欠けたまま、とりあえず地元で定番の老舗デパートTへやってきた。

紳士物売場.jpeg

駐車場から直結しているフロアで改めてパンフレットを手に取ると、1F4F5Fと随所に、「ギフトアドバイザー」が配置されているよう。

さすがぁ。これなら、ざっくばらんに相談できるね、と感心したのもつかの間。

まず1Fに降りて、総合受付にいくと、「それらしい者が3Fに」、という極めてあいまいな回答だった。

やや不信感を抱きながら3Fに上がったら、今度は新人らしき受付嬢がマニュアル通りのスマイルを振りまきながら、

「どういったものをお探しですか?」

おっと、ここでまさかの振り出しに戻るわけ?

「いえね、今言ったように、モノを探す以前に、どういったものがいいかということも含めて、相談できる「ニンゲン」を探してるんですよ。プロのギフトアドバイザーって方がいるんでしょ!?」

と苛立ちながらも同じオーダーを復唱すると、Q&Aのマニュアルになかったのか、次第に笑顔がひきつり、

「え~っと、紳士鞄や旅行用品などでしたら、4回にございますが・・・」

これ以上、この人とこのレベルの話をしているエネルギーが感じられなかったので、あきらめて4Fへ。

そこに行けば少しでもゴールに近づけることを祈りつつ。

ところが、そのわずかな期待も見事に裏切られた。

4Fの紳士物売場でも、もはや案の定というべきか、「ギフトアドバイザー」なる人物が休みだとかで、危うくまたたらいまわしにされそうになった。

幸い比較的機転の利く(?)中年の女性店員が、上司に電話して相談の上ケータイで呼び出すという何とも微妙な提案をしてきた。

ここまで来ると、なんだかこっちがクレーマーかのようなムードだ。

あれこれ深く考えずに適当なものを探し当ててしれっと渡しちゃう、そんな人種のほうが、よっぽど生きててストレスが少ないんだろうな・・・とさえ思えた。

いや、ちょっと待って。

ここは、創業200年近く、株式会社化しても久しい、日本を代表する高級百貨店だったよね!?

明日へとつないでゆく贈り物とか謳ってる、あの。

しかも何を隠そう、祖父と祖母が若かりし頃ここで出会って愛を育んだ職場でもあり、個人的にはゆかりの深いお店なのに・・・心底がっかりさせられた。

何でしょう、この、まるでお役所かのような、目の前にあるものを売ることだけにしか、頭を使っていない、マニュアル人間の集まりは。

結論からいうと、その1時間後にようやく、ギフトアドバイザーの名刺を持った店員が案内に来て、事なきを得たが、本来サクッと済み、かつ楽しいはずのショッピングが、最後はクタクタになって終わった。

ちなみに、一時は大きく売り上げが落ち込んでいた百貨店業界も、中国人を中心とする爆買いのおかげで、ここ最近は業績上々だとメディアを賑わせているが、いいモノがどんなにそろっていても、人の心を満足させるようなサービスが付加価値として提供できなければ、いずれ、よりハイコンテクストなニーズを持った成熟した買い物客には見捨てられる日が来るのが、目に見えている。

そうなる前に、今こそ、新しい時代を迎えるためのマーケティング・コミュニケーションをしっかり研究してほしいものだ。

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