優しいだけじゃ、ダメ。

普段は忙しい相方が、たまの平日の振替休暇に、保育園の送り迎えをしてみたいと言い出した。
どんな様子か見てもらうのもいい機会だと思い、朝はあえて任せて、自分は車の中で待っていた。
すると、ほどなくして、涙をぬぐいながら帰ってきたではないか!
えっ、ま、まさかのもらい泣き!?

今月頭から通い始めて3週間、いきなり知らない環境に一人放り込まれて、赤ちゃんなりに寂しさとストレスを感じているらしく、特に朝、先生に引き渡して出ようとすると、もう今生の別れかというぐらい、体にしがみついてきては号泣の毎日。
それを振り切っていかなければならない、あまりのつらさに最初の数日は、確かに私も参っていた。
給食時は、1-2歳児の合同クラスで、みんながコップ飲みになじんでいる中、一番月齢が低く、まだまだ一人だけストローでのスタートにじれったさをにじませた。
超健康優良児で今まで風邪一つ引いたことのない子が、三日目で鼻水をたらし、この前なんかとうとうお熱まで出て、園から呼び出しがかかる始末。
「仕事に集中したいから」
それだけの理由だとしたら、1歳2か月から預けてしまおうという自分の判断は、果たして正しかったのだろうか。
自分のエゴに子供を付き合わせているだけで、必要以上の負担をかけてはいないだろうか。
葛藤にさいなまれる日々が続いた・・・そんなある日。
気が付くと、迎えに行った時の娘の反応が変わっていた。
どうして置いてったりしたの!?とそれまでは恨めしそうに半べそかきながら抱き着いてきたのが、いつの間にか晴れ晴れとした表情で駆け寄ってくるようになり、時折楽しそうな笑顔さえ見せてくれる。
彼氏②.jpeg

彼氏がいっぱいできたみたいだし。

彼氏①.jpeg

コップ飲みも、果敢に挑戦した結果、だいぶ上手になったと先生から報告される。
大人がくよくよしているうちに、子供はたくさん刺激を受けて、たくさん吸収して、どんどん逞しくなっていたのだ。
あなたは優しくない。と相方に言われたことがある。
そりゃあ私だって出産前は、赤ちゃんが号泣しているのに、少しも動じることなく平然とおむつ替えをしている母親を見て、なんで抱きしめてあげないの?なんて冷酷な人なんだろう、とその子のことを勝手に同情して、涙があふれたこともある。
でも、それは優しさからではなかったと思う。
涙腺がつい緩んでしまうのは、妊娠中のホルモンのなせる業で、それ以上に、ほんとの育児というものをまだ知らなかったからだけ。
いざ赤ちゃんが生まれた瞬間から、想像をはるかに超える、数々のピンチに日々見舞われたり、思わぬところで壁にぶつかったり。
でも、この小さくもろい存在を守るだけでなく、社会の厳しさを教えてあげる、それに耐えうる強さを身につけさせてあげるのも、親の役目ではないだろうか。
いつもそばにいるだけが親じゃない。時にはあえて突き放すこともきっと必要だろうし。
通行止め.jpeg

目の前の子供の涙に心が痛まない母親はいない。でも、日々その痛みをぐっとこらえ、乗り越えていかなければならないのもまた、母親の宿命だと思う。
その覚悟ができた頃からかしら、ちょっとやそっとのことで、とてもめそめそしていられなくなったのだ。
そう、優しいだけじゃだめなのだ、優しいだけじゃ。

コメント/评语(0)トラックバック/过期搜索(0)

トラックバック/过期搜索(0)

トラックバック/过期搜索 URL: http://www.chemin-libre.com/mt/mt-tb.cgi/365

コメント/评语(0)

コメントを投稿する/发表评语

ニックネーム/昵称
メールアドレス/电子邮址
URL
コメント/评语

ページ先頭へ戻る/返回顶部

カレンダー/日历

最近の記事/最新日志

Chemin Libre
日本語サイト/日文网站
中国語サイト/中文网站
  • RSS