「中国で最も有名な日本人」
8月は引きこもり気味だったので、今月は徐々に安定期に入っていくのを見据えて、諸々活動を再開しようともくろんでいます。
第一弾として、今夜は加藤嘉一さんの講演会に行ってきた。
「中国で最も有名な日本人」という異名を持つ彼のことは、以前から気にはなっていたが、ここだけの話、日本のメディアで取り上げられているところを見る限り、そのすごさがわからないと思う。
実際私も失礼なことに、半信半疑で向かったのだ。
会場である新宿紀伊国屋のホールに入ってみると、500人を優に超す来場者の熱気に圧倒されそうになった。中国に対する関心の高さを伺わせるものだが、それ以上に加藤嘉一氏個人への興味が、大いなるモチベーションになったのではと感じた。
なぜなら、講演内容は、決して今流行りの(?)金儲けの対象としての中国ビジネスをテーマにしたものではないから。
どちらかというと、北京大学出身らしく、政治、社会や国民性にフォーカスし、非常に内側から中国と中国人の本質に迫った、的確で鋭い分析に終始した。
18歳の時から単身で渡り、中国社会、それもコテコテの北京っ子の生活に溶け込んだ彼だからこそ頷ける、目を見張るようなインサイトの数々。
近年よく目にする、ややもするとアヤシイ商売(?)で「大成功」というオジサンの断片的で上っ面な進出話だったり、きのう、きょうナイトスクールのおネエちゃんから仕入れた覚えたての片言を操る、評論家センセイのなんちゃってセミナーだったり、そうした薄っぺらい中国論談とは明らかに一線を画す、久しぶりに「ほんとに知っている人」から深みのある話を聞いたような気がして妙に心地よかった。
まさにそんな玉石混合といった、黎明期の「中国ビジネス」業界を象徴するかのように、これまた知識や意識レベルもばらばらの来場者にはどこまで何が伝わったか、少し疑問ですが、少なくとも、裏だけをかいた差別的な警戒説でもなければ、短絡的な擁護論でもない、実に客観的で等身大の現代中国と中国人の紹介だったいえる。
ふと、今の日本の政界にも、こういう人が一人でも入れば、長く停滞した中国外交も変わるのにな、と思った。
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