マルチリンガル社長の日々
不尽千言万语

きょうは銀座のお店で商品を探していたら、レジのほうで何やら騒がしく、スタッフと買い物客がもめているようだった。何気なく聞き耳を立ててみると、ガイドらしき女性が連れてきた中国人観光客の買った分まで、自分のポイントカードを勝手に通して記録させようとしたのを止められたため、ふてくされているのだった。「個人情報の問題もあるし、隠しカメラに収まって本社でチェックされた例もあるので、お客様のためにもそういうことはやめるよう申し上げてるんですよ」あくまで丁寧に対応している店員に対し「お金使ってるのはイッショでしょう。私が連れてキタンダヨぉ」となかなか引き下がる様子のないガイド。その後ろでわけもわからず途方に暮れている数人の観光客。時折女性は後ろを気にして、「日本ってめんどうくさいこといっぱいあるの。私たちのおかげで潤ってるのに難癖つけるんだから」と中国語のセリフを吐き捨てたりしている。

困り果ててほとんどあきらめモードの店員と、真実を知る由もなく延々待たされている観光客たちを見て、私はなんだかとってもいやな気分になった。

こんなことがおそらく日常茶飯事的に起きるようになった昨今、日本中、いや、世界中で見られる現象になりつつあると思うと、胸を締め付けられるような思いでいっぱいになる。ある意味これが、多くの対中国ビジネスの縮図なのかもしれない。

実質的な損害を受ける店側はもちろん、せっかく日本に来て買い物を楽しもうと思う中国人観光客たちも、決してハッピーとはいえないだろう。いや、むしろ一番の被害者だ。本来、間に立って双方を助ける立場にある人間のモラルの低さ、悪質さもさることながら、こうした現状に目を向けることなくいいかげんな采配を容認しているデシジョンメーカーの、罪深さと愚かしさが、何よりとても嘆かわしく思われた。中国ビジネスに本気で取り組もうと考えていらっしゃる企業の経営者の方々、くれぐれもパートナー選びを慎重にお願いしたい。そうしなければ、あなたの知らないところでどんどん客が離れていくだけでなく、もっと大きなものが失われることになりますよ！