いきなりトラブル
月曜日の朝から本番が始まるのだが、今回は前泊よりも、さらに一日前乗りしているのは、一つ問題を抱えていたからだ。
インタビューの一部始終を、ビデオ録画するのだが、カメラ係にバイト君を一人押えていたのに、直前になって、あてが外れてしまった。
基本三脚を立てて固定アングルで回しっぱなしなのだが、たまに手元の資料やサンプルに寄せたり、セッションごとにテープチェンジをする仕事。そのためだけだが、いなきゃ絶対に困る存在だ。
それが、3日間6名対象者のインタビュー会場が直前にようやくフィックスし、住所を含めたスケジュール表を送ると、場所が遠くてよくわからないし、移動が多いからいやだ!と言ってきた。
正直、報酬もさほど悪くはないというか、相場並みのつもりだったが、まさかあっさり蹴られるとは。
実は紹介してもらった当初からやり取りが怪しかった。
仕事の内容を説明し、連絡先など相手のスペック情報を求めるメールを送ったら、ただの身分証明書のコピペと思われる、何ともぶっきらぼうな返信が帰ってきていた。
「初めまして、よろしくお願いします」的な発想がないのは想定の範囲内だが、それにしても色気がなさすぎる。これじゃ、クライアントのいらっしゃる前できちんと機能するかどうか心配だ。
あとは、この人の反射神経とカンに賭けるしかと思い、デジカメの扱いや似たような仕事の経験を尋ねると、帰ってきたのはこんな一文だけ:
「知らない!教えてくれるって聞いたけど!?」みたいな。
ほとんど小学生レベルの無邪気さ加減である。ちなみに36歳だけど。
そして極めつきは上記のような理由でドタキャンってわけさ。
普通なら開いた口が塞がらないだろうが、そこは百戦錬磨の私(自分でいう。笑)
中国で仕事をしているとこれぐらいのハプニングは日常茶飯事。だからこそ先手を打って一日バッファを取ることにした。一日もあればどんなトラブルもリカバーできるはずだ。
とはいえ、夕べホテルにチェックインしてから、代わりを探すために、知人たちに延々と電話をかけまくっている。
上海外語大の学生のルートが一瞬つながったものの、時給100元と平気で吹っかけて(?)きた。
今のレート(1RMB≒¥16)で換算すると日本でもなかなかない、高尚なバイトになってしまう。
あ、夜のお仕事は除いてね。
さすがに予算オーバーと断り、また振り出しに戻った。
近年もっぱら人件費の高騰が話題の上海だが、その片鱗を垣間見た気がする。
電話機の前に張り付くこと半日、昼過ぎになってようやく解決の兆しが見えた。
食事に出ていると同通の紅子さんから連絡が入り、日本人と仕事をしている知人の会社が手配を引き受けてくれたという。
結果やや高くついたものの、一安心だ。
持つべきものはやっぱり、日本人のかゆいところに手が届く優秀なパートナーだ。
あとは明日以降の段取りを決めたり、書類や機材の準備をしたり、気が付くと日が暮れていた。
夜は息抜きに「新都里(シントリー)」というお店に出かけてみた。
上海だけでも何軒かある、確か台湾系の創作チャイニーズのチェーン店だが、今回訪れた岳陽路のは、中でもさらにムーディな作りだった。
重厚な石のオブジェの下に手を入れると自動ドアが開く仕組みで、デートとかだったらさぞ盛り上がるんだろうなと思いながら(笑)、2歳児の手を引いてふらっと入ると、驚くことに、子供連れのなんと多いこと。
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